●●●インプラントとは●●●
【インプラントについて】
インプラントとは、失われた歯に代わって使える人口の歯で、第二の永久歯とも言えます。人工歯根が骨と一体化することで、入れ歯やブリッジと違い、天然歯と同じように使用できるのが最大の魅力です。
インプラントとの仕組みは、人口の歯根を骨に埋め込み、その上から天然の歯のように自然な外観の人工歯を被せる仕組みになります。骨にがっちりと定着させることで、ほとんど自分の歯のように使えるため、第二の永久歯と呼ばれています。
歯は歯茎の中に太い2本の歯根がしっかり食い込んでいます。歯根は植物の根っこのようなもので、根っこが丈夫なほど植物は大きく育つように、歯も歯根があごの骨に定着していることが重要となります。
インプラントは歯肉を切開してあごの骨に穴を開けて、そこに人口の歯根を埋め込むことによって、天然歯と同様の機能となる点が画期的で、インプラントのように、歯の根っこを生み出す治療法は現在のところ他に例がありません。
インプラントはあごの骨に埋め込み歯根と同様の働きをする人工歯根と、歯茎の上から見える人口の歯、それら2つをジョイントするアバットメントと呼ばれる3つのパーツからできています。これらのパーツをどう入れるかによって、治療期間や手術の回数などが変わってきます。
【入れ歯やブリッジとの違い】
以前までは歯を失った場合の治療法として、入れ歯やブリッジが一般的でした。
入れ歯は歯を失った箇所に人工の歯茎を含んだ義歯をはめ込み、その周囲の歯にバネで固定する方法になります。これまで最もポピュラーな対処法となりますが、天然歯がないのであごの骨が痩せやすく、周囲の歯にも負担をかけてしまうという欠点があります。他にも周囲に虫歯ができやすく、見た目もきれいじゃない、噛み合わせが悪いなどの欠点が多くあるのも特徴です。
ブリッジとは歯を失った場所に義歯をはめ込み、両側の歯と共に固定する方法になります。左右の歯とセットで固定できるので安定感があり、天然歯と遜色のない歯を入れることが可能ですが、健康な左右の歯を削らなければならないデメリットもあり、周囲の歯が将来的に損傷してしまう可能性があるという欠点があります。
インプラントが入れ歯やブリッジと大きく違うのは、歯が動かないという点です。入れ歯は着脱が可能で清潔を保てるというメリットがありますが、その分浮いたような感覚があり、噛み合わせが悪いという欠点を感じます。またブリッジも人工の歯を両側の歯にかけて固定しているため、歯が抜けてあごの骨が痩せた場合に、歯並びが悪くなるというリスクも背負います。
インプラントはアゴの骨に埋め込むことによってしっかりと固定されるため、グラつき感や骨が痩せる心配はなく、天然歯と同じような噛み合わせを感じられます。ただしインプラントは骨に穴を開ける外科手術が必要で、料金も高いといったデメリットもあります。
【インプラント治療の安全性】
近年インプラント治療は多くの歯科医院で取り扱われるようになり、低価格化や短期化によって普及が進んでいます。ただしその一方でインプラント治療中の死亡事故や訴訟問題なども発生していることも事実です。
元々インプラント治療は、外科手術も伴う難しい治療となります。担当医には高い知識と技術、経験が必要で、歯科医なら誰でもできるというものではありません。インプラントは自由診療なので、歯科医院が料金を設定することが可能です。そのため技術も経験もないのに安易に手術を行う歯科医や、粗悪品を扱っているクリニックも存在します。インプラント治療をお考えの方は、実積と知識を積んだ信頼できる歯科医を見つけることが重要だと言えるでしょう。
ただしインプラントという医療行為自体が危険ということではありません。インプラントの歴史は古く、遡れば紀元前から既に行われていたのではないかと言われています。抜けた歯の穴に金やサファイアなどの宝石や貝殻など、様々な材質のもので失った歯を取り戻そうとしたことが分かっています。しかしそのような過去の試みは全て成功はしていません。材料とあごの骨の結合が、当時の技術では難しかったからです。
時は進み1950年代になると、スウェーデンのブローネマルク博士がチタンを素材としてインプラント治療を行ったところ、あごの骨としっかり結合し、ついに治療が成功したのです。
現在では、治療後10以上経てもインプラントが残存している確率は9割以上と言われ、20年を経てもほとんど変わらないと言われています。最先端の技術開発で第二の永久歯と言われるインプラントは、今も新しい技術が生み出されています。きちんとしたクリニックで、施術前にしっかりと説明を理解すれば、インプラント治療を怖がることもないでしょう。
【インプラントの種類】
インプラントの種類は100種類以上とも言われています。一言でインプラントと言っても、様々な形状やメーカー、システムがあり、それぞれに強みや特徴があります。口内環境は一人ひとり違い、どのインプラントを採用するかは専門医との相談が必要です。専門医による検査の上、それぞれの人にとって最適な選択をするというのが、一般的なインプラント治療のスタイルです。
インプラントは代表的なもので4種類あり、まず最も主要なタイプとしてスクリュータイプが挙げられます。ネジのような形をしたインプラントで、骨に埋め込む穴が小さく、噛む力を効率良く骨に伝えられるところが特徴です。先端が細いルートタイプと、太さが変わらないストレートタイプがあります。
次に主流なのはシリンダータイプと言えるでしょう。こちらはネジの螺旋がない円筒形で、凹凸がないので容易に埋め込みが可能です。ただ表面積が小さいため、初期固定が弱いという欠点もあります。
バスケットタイプはネジのような螺旋があり、スクリュータイプと似ていますが、穴が数カ所開いており、中が空洞となっているのが特徴です。穴があることによって骨が中まで入り、骨とより強く結合することが可能ですが、空洞なのでインプラント自体の強度が弱く、破損のトラブルもあります。最近ではあまり使われなくなってきました。
最後にブレードタイプを紹介します。こちらはT字の板状になっており、幅は狭く薄いため、骨幅あ狭い部分にも使えるというメリットがあります。ただし力のかかり方に偏りがあるため、破損などが起きやすいという欠点があり、こちらも近年ではあまり使われなくなってきました。