歯科衛生士とは

●●●歯科衛生士とは●●●

【歯科衛生士の主な業務】

歯科衛生士とは、歯科医院にかかる患者に対して、歯科医の診療補助、保健指導、歯科予防処置などの歯科医療業務を行う、主に女性に適している専門職のことです。これらの業務は歯科衛生士の三大業務と呼ばれています。歯科衛生士の目的は、歯科疾患の予防と口腔の衛生向上を図り、人の口腔や歯の健康をサポートしています。
近年、口腔や歯の健康と身体全身の健康の関係が明らかにされており、益々歯科衛生士の役割への関心が高まりを見せています。

【予防処置】

歯肉や歯の健康状態を点検したり、医療機器で歯石を取ったり虫歯予防のための薬を歯に塗布したりします。歯を失ってしまう原因のほとんどが歯周病と虫歯であると言われます。それらの疾患の予防のために歯科衛生士が行うのが、歯垢や歯石などの口腔の汚れの除去や虫歯予防のためのフッ素の塗布です。
歯に汚れが残っている状態でいるとやがて歯垢になり、さらにそのまま何もしないでおくと歯石になります。歯垢は歯ブラシで除去できますが、歯石は自分ではもはやどうにもならないため、専用機器を使って歯科衛生士に取り除いてもらい、フッ素を塗布してもらいます。
こうすることで口腔の清潔は保たれ、虫歯や歯周病などを防ぐことが可能になります。歯科衛生士は副作用や用法等の薬に関する知識もあるからこそ、適切な処置が行えます。

【保健指導】

保健指導では、幼稚園や保育園、小学校などに赴いて歯磨きの仕方を指導します。近年では介護施設などでも指導し、活動の幅も広がっています。歯周病や虫歯にならないために必要なのは、まず日頃からの歯磨き等のケアです。歯ブラシの歯への動かし方や当てる角度、力の入れ具合など、正しい磨き方を身につけられるよう指導をするのも、歯科衛生士の大切な仕事です。
他にも口腔の健康を保つために、歯磨きだけではなく、適切な食事の摂り方、生活習慣の改善方法、食べ方や噛み方なども大変重要なので、そういった改善指導も歯科衛生士は行っています。

【診療補助】

歯科衛生士は、歯科医の補助係として、患者の口腔内の診療をサポートします。歯科医師の指示のもと、医療行為のサポートを務めるのも、歯科衛生士の大切な仕事です。歯科衛生士が補助する範囲は、経験や能力、勤務地によっても大きく異なります。特に歯科医が足りない環境においては、担当する範囲も広がります。
歯の型を取るなどの口腔内で行う作業以外にも、診療器具の滅菌などの準備、レントゲン撮影の補助などもあり、その他にも院内の清掃や受付業務、診療報酬請求事務等も歯科衛生士の重要な仕事のひとつです。
人にとって食生活は健康づくりの基本になり、口腔の健康のサポートを通じて医療に貢献できるのが歯科衛生士の仕事の醍醐味です。ちなみに診療の補助以外にも、不安を抱えて来院される患者をサポートするのも歯科衛生士の重要な使命です。

【歯科助手との違い】

歯科助手は歯科アシスタントとも呼ばれ、受付事務や診療をするための雑務を担当するのが主な仕事です。歯科衛生士のように国から認められた資格等は特に必要ありません。そのためスクールなどで作られた独自の資格を1〜2年制のコースで取得し、学んでいます。
歯科医療の現場においては、歯科衛生士が不足しているため、歯科助手がその穴を埋めて手伝っていることが多くあります。そのため歯科助手として勤務していた人が、歯科衛生士との待遇の違いや業務範囲の狭さに直面し、改めて歯科衛生士の資格を取るためにスクールに通う人もいます。歯科医療を体系立てて学んでいない歯科助手のままでは、医療事故に繋がる危険性も高いためです。感染症などの知識についても乏しい歯科助手は、職場における器具の片付けなどで肝炎などに罹ってしまうケースもあります。
歯科衛生士は、歯科衛生士法に基づく国家資格で、その資格を取得することについて、修業年限や時間数、必須学科目がきちんと規定されており、医療人としての業務や地位が保証されます。
それと比較し歯科助手にはこういった法的な基準はありません。よって歯科助手は医療行為を行うことはできません。事務や雑務などの資格を必要としない業務を行うだけです。ここまで述べたように歯科衛生士は医療業務従事者と言え、歯科助手は一般事務職のようなものなので、一見同じような業種に見えて、大きく違いがあります。